リスクを正しく解釈して資産運用に活かす

2018年7月28日

正しく解釈

 「リスクとはリターンの信用度」

これが実際に資産運用を行う上で、リスクの正しい解釈の仕方です。

リスクを教科書的に説明すると、「リスクとはリターンのブレであり、リスクが大きいほどリターンのブレ幅は上下に大きくなる」となります。もちろんこの説明は正しいのですが、ここで終わってしまうと「リスクを資産運用に活かす」までには至れません。

では、この教科書的な説明をどのように解釈すれば、リスクを資産運用に活かせるのかというと、「リスクが高い → リターンは大きくブレた → リターンの信用度は低い」と変換すればいいのです。

リターンは信用度も重要

私達が投資資産を選ぶとき、たいていの場合は各資産の過去の実績を参考にします。そのとき、まず気になるのは各資産のリターンではないでしょうか。当然のことながら、資産運用をする上で最も重要なポイントは儲かるかどうかです。このため、過去の実績の中でリターンが高いかどうかは最重要情報と言ってもよいでしょう。

しかし、リターンが他の情報より重要だったとしても、それが「信用できるかどうか」は別問題です。仮に、そのリターンが今後も続くと信用できるなら、リスクなんか気にする必要はありません。どんなにブレようが結果的に儲かるわけですから、値下がりしている時に運用を止めさえしなければ勝つことができます。

ただし、ここで気を付けなければいけないのが、リスクが高い場合、その時のリターンが「たまたまいい結果だった」可能性が十分に考えられることです。

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リターンの信用度を確認

例として日経平均を見てみましょう。日経平均の直近5年間のリターンとリスクは以下の値です。

リターン(年率):14%
リスク(年率):16%
※2013年2月末~2018年2月末の月次データから算出

果たしてこの ”リターン14%” は今後も当てにしてよいのでしょうか?

答えはノーです。

それはもう一つの指標である ”リスク16%” の意味が分かれば理解できると思います。この ”リスク16%” とは、5年間のうち日経平均のリターン(年率)が「14%を中心にだいたい±16%の範囲内でブレた」ことを表します

具体的な数字を当てはめてみると、5年間のうち日経平均のリターン(年率)の「7割弱が-2%~+30%の範囲内でブレた」、逆に「残りの3割強はブレがその範囲外まで及んだ」となります。

リスク・リターンのイメージ

図にすることでより分かりやすくなると思いますが、リスク(年率)が16%もある場合、リターン(年率)が大幅にブレるため、運用する時期が少し変わるだけで、14%とはかけ離れたリターンになると考えられます。つまり、「日経平均で5年間運用すると年率14%のリターンが得られる」という推測は、リターンの信用度が低過ぎるため、ほとんどデタラメになってしまうということです。

リターンとリスクの検証

実際に、日経平均で5年間運用した場合のリターンとリスクの推移を見てみましょう。

日経平均のリスク・リターン推移

上のグラフは、各日付から5年間さかのぼった期間のリターンとリスクの推移を表しています(月次データから算出)。例えば、左端の1988年2月は1983年2月~1988年2月のリターン(年率)とリスク(年率)を表します。

まず、グラフから「 ”リターン14%” は全く当てにならない」どころか、「マイナスリターンになることも普通にある」ということが分かります。もっと言うなら、上のグラフは年率換算した推移ですが、年率換算せずに5年間のトータルリターンで見ると、最高で ”+250%” 、最低で ”-55%” と、運用を開始する時期によってリターンに雲泥の差が出てしまいます。

ちなみに、グラフのリターンは配当を含んでいません。配当を含んだリターンは1~1.5%程度上方で推移しますが、「リスクが16%もある場合、その時のリターンが全く当てにならない」という結論は変わりません。

そして一方で、”リスク16%” はまだ参考にできそうだということも分かります。もちろんグラフで示したように長期的な推移を見た方が、日経平均のリスクをより正確に把握できますが、直近の ”リスク16%” だけでも「このリターンはそれぐらいの信用度か」という参考にはなると考えられます。

信用できるリスクの値は?

では、一体リスクが何%ならそのリターンを当てにしてもよいのか?

あくまで私の経験上ですが、期間5年以上で計測したリスク(年率)が5%以内なら、その時のリターンは「まあ、参考にしてもいいかな」くらいのイメージです。そして、実際に探してみると分かると思いますが、リスクが5%以内になるような資産はそう多くありません。

要するに、多くの資産は「一時点のリターンが良かっただけで、今後も良いと判断するのは危険」ということです。少なくとも、この記事で例示したように過去の推移を見るなど、さらなる分析が必要でしょう。

資産運用をする上で、投資しようとしている資産の過去のリターンとリスクは必ずと言っていいほど目にすると思います。はっきり言って、リスクが5%以上あったら、その時のリターンはまず疑ってください。そして、リスクが5%以内であっても、その時のリターンを鵜呑にはせず、参考程度にとどめておくべきです。

過去データから未来のリターンを予測するのであれば、一時点の情報だけで判断するのではなく、リスクの値によってさらなる情報を得た上で判断するようにしましょう。それが「リスクを正しく解釈し資産運用に活かす」ということなのです。

『負けない資産運用の王道』では、原則として過去データを使う際、都合のいい一時点ではなく取れる範囲で最悪の時点を使います。それを踏まえた上で、「最悪の場合でもいかに負けないようにするか」という運用手法を提案したいと思います。

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