分散投資①:為替ヘッジ付きハイイールド債券

2018年8月9日

ハイイールド債券

「投資信託の長所を最も活かした資産の一つがハイイールド債券」

一般的に、債券の主な価格変動要因として挙げられるのが、

  • 世の中の金利の変化
  • 債券を発行する国や企業の信用力の変化

の2つです。そして、負けない資産運用を目指すうえで特に注意が必要なのは、後者の信用力の変化と考えられます。なぜなら、世の中の金利の変化が要因の場合は債券価格が変動するだけで済みますが、信用力の変化の場合は、最悪、国や会社が破産して債券価格がゼロになることも有り得るからです。

ハイイールド債券こそ分散投資

ハイイールド債券とは「信用力が低い企業が高い利息で発行する債券」のことです。このため、一般的な債券と比べて信用力の調査がより重要となります。

しかし、企業の信用力を個人で調査することはほぼ不可能と言ってよいでしょう。リーマンショックなど過去の大企業が倒産した事例からも分かる通り、専門の調査会社ですら企業がオープンにしていない情報を見破るのは難しいことです。このため、企業が破産するかどうかを高い精度で把握することは、業績を当てるよりもよほど難しいと言えるでしょう。

そこで、重要となってくるのが分散投資です。十分な銘柄分散を行うことによって、運用する債券全ての価値がゼロになる確率を圧倒的に低く抑えることができます。

しかし、債券は最低取引単位が比較的大きい資産ですから、分散投資をしようとするとそれだけ大きな金額が必要となってきますし、そもそも個人で投資できる債券銘柄はごく限られています。このため、小額から分散投資ができ、プロが銘柄の調査・選定を行ってくれる投資信託を活用することは、ハイイールド債券投資においては極めて有効な手段と言えるでしょう。

スポンサーリンク

為替ヘッジで為替変動をカット

為替ヘッジとは為替予約を使ってあらかじめ為替レートを固定してしまう手法のことですが、ここで覚えておきたいのは以下の2点です。

  • 外貨建て資産の為替変動をほぼ無くすことができる。
  • 短期金利差分のコストがかかる。

まず1点目ですが、「なぜ為替ヘッジを行うのか?」と言えば「運用資産の為替変動を無くすため」という理由に尽きます。

そもそも、”円” という通貨は世界的にみるとリスク回避先の通貨として利用されます。”なぜか?” は説明が長くなってしまうので、気になる人は以下のサイトを参考にしてみてください。

NIKKEI STYLE:「安全通貨」というけれど 円を取り巻く奇妙な力学

とにかく、ここでは「世界的にマーケットが荒れると、みんなが円を買うことで急激な円高になりやすい」ということだけ覚えておきましょう。

つまり、たとえ分散投資を行ったとしても、投資先が外貨建て資産である場合、世界的に株価が急落して大きく円高になるような場面では、株だけでなく全ての外貨建資産が為替で値下がりしてしまうのです。円が世界的にリスク回避先の通貨である限り、これを避ける有効な手段は、”円建て資産” もしくは ”為替ヘッジ付き資産” に分散投資する以外はほとんど無いといって良いでしょう。

メリットに見合うコストかどうか

次に、2点目のコストについてです。

為替ヘッジコストについて分かりやすい例で説明すると、現在日本の短期金利はほぼゼロなのに対してブラジルレアルの短期金利は年率6%程度です。つまり、ブラジルレアルと円で為替ヘッジを行うと、年率6%程度のコストがかかるということです。ちなみに、なぜ短期金利かというと、為替ヘッジは通常1ヶ月~1年程度という短い期日の為替予約を繰り返して行うためです。

気が付いた人もいると思いますが、円金利が低いこともあり、為替ヘッジコストは通貨によってパフォーマンスに大きなマイナス影響を与えることがあります。2018年6月1日時点で、おおまかな対円の為替ヘッジコストは以下の通りです。

為替ヘッジコスト

主軸資産であるインド株式に為替ヘッジを付けない一番の理由は、そのコストの高さにあります。インド株式の最大の魅力である成長性をコストによって真っ向から打ち消してしまうため、そもそも為替ヘッジ付きのインド株式ファンド自体が存在しない(レバレッジのかかった特殊なファンドは除く)というのも納得できます。

一方で、ハイイールド債券はというと、その大部分がドル建やユーロ建です。ユーロに関しては、現在は円と同じく低金利のためコストはほぼゼロで済みます。そして、ドルについては年率2.5%と、決してコストが安いとは言えません。しかし、為替変動から運用資産を守れるメリットを考慮すれば、必要経費と考えることもできるのではないでしょうか。

パフォーマンスから相性を確認

それでは、為替ヘッジ付きハイイールド債券のパフォーマンスを見てみましょう。ここでは、2000年より前から運用実績がある2ファンドで代用して、大まかな値動きを確認します。ただし、インド株式のような指数と違ってファンドには信託報酬がかかるため、その分パフォーマンスが悪くなっていることには注意が必要です。

ヘッジ付ハイイールド債券ファンドの価格推移

やはりリーマンショックで大きく値下がりしていますが、インド株式よりはましということも分かります。

ヘッジ付ハイイールド債券のリターン推移

5年間のリターンを見てみると、年率5%程度の期間が多いこと、リーマンショック直後で運用を終了した期間がマイナスリターンであったことなどが読み取れます。

そして注目すべきは、インド株式とマイナスになる期間がズレていることです。このズレがあるからこそ、分散投資をすることで、それぞれのマイナスをカバーすることができるのです。

『負けない資産運用の王道』では、期待リターンの高さとリスク分散効果の高さを基準に、分散投資資産をピックアップしています。そういった観点から、”インド株式” と ”為替ヘッジ付きハイイールド債券” は相性の良い組み合わせと言えるでしょう。

スポンサーリンク