分散投資の極意とは?そのやり方と本当のメリットを徹底解説
- そもそも分散投資とは?
- 分散投資のメリットとデメリットって何?
- 分散投資の正しいやり方を知りたい
資産運用の本やサイトを見れば必ずと言っていいほど「資産運用のコツ」として挙げられているのが “分散投資” と “積立投資” です。今回は、その内の “分散投資” を取り上げます。
残念ながら、本やサイトでは分散投資の正確なメリット・デメリットと正しいやり方を解説しているものはほとんどありません。それどころか「分散投資で安定的なリターンが得られます!」とだけ強調するといった、明らかにミスリードさせるような表記が散見されています。
分散投資は正しく活用すれば、自分の意図した資産運用を行うのに強力な武器となり得ますが、使い方を間違えると「なんか全然儲からない!」、「普通に大損してるんだけど!」といった事態に陥ります。
この記事では、皆さんにそんな分散投資の極意を伝授したいと思います。
なお、積立投資については
で分かりやすく、そして実戦でも使えるように詳しく解説しているので、ぜひ合わせてそちらも読んでみてください。
この記事の目次です。
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分散投資の原点とは
投資をする究極の目的は「儲けるため」です。そしてより大きく儲けるためには「何に投資すればいいのか」という話になりますが、比較的投資対象が限られている個人投資家ですら、投資先は星の数ほど存在します。そして、星の数ほどある選択肢の中で最適解はたった一つしかありません。それは、最も値上がりする銘柄(資産)だけに投資することです。
しかし、それを狙ってやるのは神の所業と言える程難しいと言えます。なぜなら、価格を予想すること自体は企業分析や経済分析によって可能ですが、一方で、価格に影響をおよぼす全ての不確定要素を取り除き、価格を的中することは、もはや予想ではなく予知の領域だからです。
このため、人間である私達がせいぜいできることと言えば、自分なりの分析によって最も値上がりしそうな銘柄に当たりを付けることくらいでしょう。
ではどうすればいいのか?
答えは単純で、当たりを付けた銘柄全てに投資すればいいのです。つまり、最も値上がりする銘柄のピンポイント狙いをあきらめる代わりに、値上がり率上位の銘柄を根こそぎ狙おうという戦略です。
「分析に分析を重ね、より大きな値上がりが期待できる銘柄を絞り込み、その銘柄群に投資することで大きなリターンを狙う」、これこそが分散投資の原点なのです。
こう聞くと、分散投資の印象が大きく変わるのではないでしょうか。少なくとも “安定的” とはほど遠いように思えます。
もちろん、ピンポイントを狙うより根こそぎ狙う方が、狙いを外した時に痛手が少ない傾向にあることも事実ですし、それは分散投資の大きなメリットの一つと言えるでしょう。だからと言って、原点も知らず闇雲に分散投資をしても良いという理由は一つもありません。
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分散投資を競馬に例える
この分散投資の原点、実は競馬とかなり似ています。
ここではシンプルに1位になる馬を予想することを考えてみましょう。
この時一番儲かるのは、「1頭だけに賭けてそれが的中すること」です。様々なデータを分析したうえで自信があるなら、それを狙うのもアリだと思います。
しかし、レースの順位は馬本来の実力だけでなく、その日の馬の体調、天候、騎手、レース距離など無数の要素によって決まり、その中には多くの不確定要素が含まれます。このため、分析結果からより有力な候補を複数ピックアップして賭けることで、的中率を上げることも立派な戦略です。
この戦略、競馬では外れた賭け金が全て没収されるという点を除いて、分散投資の原点における戦略とほぼ同じと言えます。
さらに、似ている点はそれだけではありません。
競馬ではオッズと呼ばれる「的中した時に賭け金が何倍になるか」という倍率がそれぞれの馬に割り振られますが、競馬初心者はこのオッズを考慮せず、的中しても元が取れない賭け方をすることが結構あります。
例えば、賭け金合計が2,000円なのに、1,000円をオッズ1.5倍の馬に賭けるような賭け方です。これでは、この馬が1位になったとしても、1,500円しか返ってこないので元が取り返せません。
この賭け方は、賭け金がゼロになるのを避けることにこだわり過ぎてしまい、肝心のギャンブル本来の目的である “儲ける” 確率を引き下げてしまっている典型的な例です。
この例がまさに投資にも当てはまります。それは、「投資初心者は価格が大きく下落するのを避けることにこだわり過ぎてしまい、肝心の投資本来の目的である “リターン” を大きく引き下げてしまう分散投資をやってしまいがち」ということです。
具体的に、投資初心者は期待リターンを考えずに、リスクの低さのみに着目して分散投資する傾向にありますが、これは明らかに間違いだと言えます。
なぜこれが間違いなのかと言えば、リスクの低さのみに着目するなら、現金が最も効果的だからです。当然のことながら現金はリスクゼロであり、リスクを下げたいだけなら、投資資金を調整するだけで済んでしまいます。
濃いカルピスを割るのに、わざわざ薄いカルピスを使う必要はありません。素直に水で割りましょう。
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分散投資の2大メリット
では一体どういう分散投資が正解なのかと言うと、それは分散投資のメリットを考えることで見えてきます。
分散投資の大きなメリットとして、次の2つが挙げられます。
- 信用リスクの分散
- 価格変動リスクの分散
まず「信用リスクの分散」は、投資資産全体の価値がゼロになることを回避する効果があります。
この効果は想像しやすいと思いますが、1銘柄のみに投資した場合は、その銘柄の発行体である国や企業が破綻してしまうと、投資資産全体の価値もゼロになってしまいます。しかし、複数の銘柄に投資していれば、それだけ投資資産全体の価値がゼロになる確率が小さくなるのです。
過去事例を見ればわかりますが、長期においては超優良企業や国であっても破綻してしまうケースが結構あります。そして、価値がゼロになってしまったらもう取り返すことはできません。
信用リスクは長期投資において最も分散しておくべきリスクの一つであることを心得ておきましょう。
次に「価格変動リスクの分散」は、投資資産全体の価格変動を小さくする効果があります。
そして、この効果を正しく学ぶことこそが、間違った分散投資から脱出する最大のポイントとなります。
実はこの効果、金融機関の人間ですら正しく説明できる人はあまりいません。大抵の人は「リスクの高い資産に対してリスクの低い資産を組み入れることで、投資資産全体としてリスクを引き下げることができる」という間違った説明をします。
しかし、これはメリットでもなんでもなく、「濃いカルピスは、薄いカルピスで割ると薄くなります」という当たり前で無意味なことを言っているに過ぎません。
価格変動リスクの分散の本当のメリットとは、「各銘柄の値動きの違い」に着目し、それを相殺させることで投資資産全体の価格変動を小さくする効果であり、この効果の最大化が「上手い分散投資」に繋がるのです。
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上手い分散投資をするために
極端な例を考えることで価格変動リスクの分散効果のイメージを掴みましょう。
まずは、リターンとリスクは同じだけど、値動きの傾向が違う銘柄に分散投資する場合です。
下図の銘柄Aに対して、値動きの傾向が違う銘柄Bと銘柄Cでは、どちらに分散投資をするのが正解でしょうか?
正解は銘柄Aと逆の値動きをする銘柄Bです。どちらも投資資産全体のリスクは下がっていますが、銘柄Bに分散投資をすれば、ほぼリスクをゼロにすることが可能です。
次に、リターンとリスクは違うけど、値動きの傾向は同じ銘柄に分散投資をする場合を考えます。
下図の銘柄Aに対して、どちらも逆の値動きをする銘柄Bと銘柄Dでは、どちらに分散投資をするのが正解でしょうか?
正解はリターンの高い銘柄Bです。どちらもリスクをほぼゼロにすることが可能ですが、リターンに圧倒的な差が出ます。
以上のことから、分散投資のポイントとして次の3つを挙げることができます。
- “リターン” が同じ銘柄に分散投資した場合、値動きが違えば “リスク” のみを引き下げることができ、その効果は値動きの傾向が逆向きであるほど高い。
- “リターン” が違う銘柄に分散投資した場合、“リターン” の高い銘柄だけに投資した時よりも投資資産全体の “リターン” は低くなる。
- “リスク” が違う銘柄に分散投資した場合、価格変動リスクの分散効果を高めるためには、“リスク” の低い銘柄により多く投資しなければならない。
これらのポイントを踏まえると、“最も上手い分散投資” とは「期待リターンが高く、かつ値動きが全く異なる銘柄に分散投資すること」であると考えられます。
さらに、値動きが全く異なる銘柄に分散投資すると、それに付随した大きなメリットが生まれます。それは万が一、投資資産を一部売却しなければならない事態が発生しても、利益が出ている銘柄や損失が少ない銘柄から売却でき、損失の大きな銘柄は保有を継続できるというメリットです。
長期投資において、「勝つまで続ける」ことは重要なポイントの一つであり、損失が確定してしまう確率を減らせるという安心感は、メンタル面でも大きな効果があるといえるでしょう。
分散投資の注意点
分散投資を考えるうえで、必ずと言っていいほど具体例として挙げられるのが国内債券です。
確かに、国内債券は株式やリートと逆向きの値動きをする傾向が高く、その点においては分散投資として申し分ありません。しかし、国内債券は株式やリートと比較して圧倒的にリスクが低いため、価格変動リスクの分散効果を十分に発揮させるためには、前述したとおり資金のほとんどを国内債券に投資する必要があります。
投資期間が短期~中期(3年程度まで)なら、相場環境によっては国内債券が最も高いリターンをあげることも十分にあり得るので、「近い将来使う可能性がある資金を少しでも運用したい」、「株式相場の下落局面を想定しているので、一時的に投資資産を入れ替えたい」といった場合には適していると考えられます。
しかし、長期における分散投資の対象として適性があるかと言われれば、少なくとも今の低金利環境下ではかなり怪しいと言わざるを得ません。長期投資においてハイリスク・ローリターンは良くあることですが、ローリスク・ハイリターンはまず成立しないのです。
このため、長期において何も考えずに国内債券に分散投資をすることは、投資資産全体のリターンを大きく引き下げる行為であることをきちんと把握する必要があります。
また、大きなリターンが期待できるからといって、価格変動リスクの分散を海外の銘柄だけで済ませようとすることもおすすめできません。
為替ヘッジを行わない限り、海外資産は全て共通して為替変動の影響を受けてしまいます。「たくさんの銘柄に分散投資したのに全然効果がなかった」なんてことも普通にあり得るので、十分に注意しましょう。
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投資理論を実現する強力な武器
繰り返しになりますが、分散投資の原点は高いリターンが期待できる銘柄(資産)を厳選して投資することです。そして、リスクを下げるだけなら投資金額を調整するだけで済みます。
これらをしっかりと押さえたうえで、分散投資のメリットである「信用リスクの分散」と「価格変動リスクの分散」の効果を十分に発揮させ、分散投資の注意点を守れば、高いリターンを安定的に得られる道がきっと開けるはずです。
確かに、分散投資は最も儲かる可能性をあきらめなければならないというデメリットがあります。
しかし、正しく活用すれば「この資産は儲かるはずだ」、「この国はもっと大きく経済成長する」、「この切り口で投資すると面白いんじゃないか」といった、あなたがはじき出した分析結果やアイディアなどを投資に忠実に反映させ、その的中率を上昇させる強力な武器となるでしょう。
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