【分散投資を極める】最適ポートフォリオの作り方を実例付きで公開

2020年5月1日

最適ポートフォリオ
  • どんな資産に投資したらいいの?
  • ポートフォリオって何?
  • 儲かるポートフォリオの作り方を知りたい

投資初心者も投資経験者も理想の資産運用とは「高いリターンを安定的に得ること」だと思います。そして、「理想に近付くためにはどんな資産に投資にしたらいいのか?」は誰しもが知りたいことでしょう。

その一つの重要なポイントとなるのが “分散投資” です。分散投資の極意とは?そのやり方と本当のメリットを徹底解説 で解説したとおり、高いリターンを ‘‘安定的に” 得るためには正しく分散投資することが必要不可欠であると言っても過言ではありません。

そこで、正しい分散投資を行うエッセンスとして「投資初心者でも失敗しない分散投資のすすめ五箇条」を 資産運用のプロがおすすめ!初心者でも失敗しない分散投資のコツ で紹介しました。

今回は、そこからさらに進んだ超実戦編として、資産運用のプロである私、ムササビ親分が “厳選した” 3つのおすすめポートフォリオを紹介したいと思います。

この記事を読めば、一見して難しく感じるポートフォリオの作り方も「なんだ、こんなことでいいのか!」と思ってもらえることでしょう。

この記事の目次です。

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そもそもポートフォリオとは?

投資において “ポートフォリオ” とは、保有している株式や債券などの銘柄群や資産の組み合わせのことを指します。元々の意味である “紙ばさみ” や “書類かばん” から派生して「金融商品をまとめたもの」という意味でも使われるようになりました。

つまり、「分散投資を実際に体現したものがポートフォリオ」であり、「どんな資産に投資したらいいか?」は「どんなポートフォリオを作ったらいいか?」と言い換えることができます。

ポートフォリオは、資産運用で「高いリターンを安定的に得ること」を考える上で必要不可欠な概念であるため、覚えておいて損はありません。

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おさらいと前提

「投資初心者でも失敗しない分散投資」としてポートフォリオの作り方の大枠はすでに 資産運用のプロがおすすめ!初心者でも失敗しない分散投資のコツ で解説しているため、ここでは重要部分だけをおさらいしておきましょう。

まず、「より大きな利益を生み出す資産(銘柄)の価格はより大きく上昇する」という投資の基本的な性質を活かすため “長期投資” を大前提とします。

その上で、「投資初心者でも失敗しない分散投資のすすめ五箇条」は以下のとおりです。

  1. 投資信託に投資することで手間なく “信用リスクの分散” を行うこと
  2. 債券や株式、リートなど異なる資産のファンドに投資し、“価格変動リスクの分散” の効果を高めること
  3. 国内債券への投資を避けること
  4. 円資産もしくは為替ヘッジを行う海外資産のファンドにも投資すること
  5. 期待リターンが高いと思うファンドを選ぶこと

分散投資のすすめ五箇条

そして、この五箇条の中で最大のハードルとなる「5.期待リターンが高いと思うファンドを選ぶこと」を実践するヒントとして次の3つが挙げられます。

  1. 株式は構造的な成長要因を持つ国・地域やセクターを選ぶ。
  2. 国内株式なら “中小型株” が無難。
  3. 為替ヘッジ付きの場合は利回りの低い先進国国債を避け、ハイイールド債券や新興国債券、あるいは株式やリートなどを選ぶ。

以上のポイントを押さえた上で、債券、株式、リートの各資産から1ファンドずつ選択すれば、大きな分散効果が見込め、かつ管理が簡単なポートフォリオを作ることできます。

それでは、「1つの投資アイディアからポートフォリオを作るまで」のフローを具体的に見ていきましょう。

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成長国筆頭!インド株式

最初の投資アイディアは「経済成長と言えばインドでしょ!インド株式に投資しよう。」です。

日々のニュースやネット情報などから、なんとなくインドは今後の経済成長が凄そうというイメージを持っている人も多いので、これは比較的思い付きやすい投資アイディアではないでしょうか。

インド株式の長期的な価格上昇を裏付ける主なポイントは以下の3点です。

  1. 人口増加を背景にインド国内の需要増加が見込めること
  2. 自国の需要増加の恩恵を大きく受けられるインドの上場企業が多数あること
  3. 新興国の中でも投資のハードルが低く、海外資本が集まり易いこと

つまり、上記の裏付けが取れれば「人口増加 → 国内需要の増加 → 国内企業の成長 → 国内企業への資本流入 → 株価上昇」という王道パターンが成立しやすいと考えることができるのです。

インド株式のパフォーマンス推移

上記はインド株式の長期パフォーマンス推移です。【エクセル付】リスク・リターンから将来を予測する投資の裏技を紹介 で詳しく解説していますが、過去パフォーマンスそのものは将来パフォーマンスを予測するうえで全く役に立ちません。一方で、GDPの拡大とともに経済の成長性や財務基盤の安定性が評価され、着実に株価が上昇している事実は大いに参考になります。

インド株式については「モディ政権の政策効果」などを中心に分析できることは数多くありますが、投資初心者であれば、まずは上記のポイントについて腹落ちできるところまで調べられれば及第点と言えるでしょう。

さて、インド株式の資産は “株式” です。つまり、ド本命のインド株式ファンドをメイン投資(50%以上投資)とする場合、残りの2ファンドは債券とリートから1ファンドずつ選んでポートフォリオを構築します。

また、インド株式は “新興国” に当たります。新興国は先進国に比べて市場が小さいことから、一括りにされて投資されることも多く、異なる国でもほとんど同じ値動きをすることが少なくありません。このため、地域分散の観点からサブ投資では “日本” や “先進国” を選択するとポートフォリオのバランスが良くなります。

これらに加え、「国内債券への投資を避ける」ことを踏まえると、以下が選択肢の一つとして適していると考えられます。

債券ファンド:先進国ハイイールド債券
リートファンド:Jリート

最後に為替ヘッジについて検討します。このポートフォリオは円資産がサブ投資のJリートのみなので為替リスクに過剰感がある一方、円は低金利通貨であるため基本的に為替ヘッジを付けるとコストがかかります。加えて、為替ヘッジを付けると該当するファンドがかなり限定されてしまうことにも注意が必要です。

このため、今回はメインのインド株式ではなく、もう一つのサブ投資である先進国ハイイールド債券に為替ヘッジを付けることにします。(実は2019年12月時点で、インド株式に為替ヘッジ付きのファンドはありません。)

これで、インド株式をメインとしたポートフォリオが完成しました。

メイン:インド株式
サブ①:為替ヘッジ付き先進国ハイイールド債券
サブ②:Jリート

もちろん “先進国” は日本以外の特定の国・地域でも構いません。

そして、ここから先は モーニングスターのHP などを利用して、手数料やパフォーマンスを比較しながら個別ファンドに落とし込んでいきます。このフローについては 1/6000本を見つける投資信託の探し方!モーニングスターの「詳細検索」を使いこなす で詳しく解説していますので、併せて読むことをおすすめします。

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安定的で高い収益!先進国リート

次の投資アイディアは「儲かると言ったら大家。世界には優良物件がたくさん転がっているはず!」です。

この投資アイディアも非常にシンプルですが、それゆえに的を射ています。世界には投資利回りの高い不動産が数多くあり、それらに投資するリートはその裏付け不動産から得られる安定的かつ高い収益から、長期的には高いパフォーマンスが期待できます。

リートはほとんどの銘柄が先進国であるため、過去30年のデータで先進国リートと先進国株式を比較してみると、先進国リートのパフォーマンスが高いことが分かります。特に、10年間投資すればマイナスリターンになることが一度もなかったことは投資家にとって心強いでしょう。

先進国リートのパフォーマンス推移

先進国リートの10年リターン推移

そんな先進国に投資するリートをメイン投資とする場合の最適ポートフォリオを考えてみます。

まずメイン投資の地域は “先進国” であるため、サブは “日本” と “新興国” の組合せです。そして「国内債券への投資を避ける」ことから適切な組合せとして以下が挙げられます。

債券ファンド:新興国債券
株式ファンド:国内中小型株式

そして為替ヘッジについてですが、やはりメインのファンド数を限定しないためにサブ投資である新興国債券に為替ヘッジを付けます。

これで、先進国リートをメインとしたポートフォリオの完成です。

メイン:先進国リート
サブ①:為替ヘッジ付新興国債券
サブ②:国内中小型株式

先進国リートについては、日本を含むファンドと除くファンドの2パターンがありますが、先進国リート全般に投資するファンドであれば、大半は米国であり日本の比率は比較的低いため、「必ず日本を除くファンドでなければならない」という訳ではありません。

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NYダウは低コスト超厳選投資!

投資大国として最も歴史ある国、そして最も大きな株式市場が米国です。そんな米国株式の指数として最も馴染みのある指数が “NYダウ” です。

実はこのNYダウ、たった30銘柄で構成されていることを知っていますか?

このたった30銘柄で構成されているNYダウが、実は時価総額で中国株式全体に匹敵します。加えて、NYダウは過去圧倒的なパフォーマンスをあげてきた実績があることも見逃せないポイントです。

NYダウのパフォーマンス推移

そう、言うなれば「超馴染みのある指数でありながら、超厳選された優良銘柄で構成する実績抜群の指数」がNYダウなのです。

投資アイディアとしては「今後世界経済が発展していく中で、“富める企業はますます富む” が顕著になるだろう。」といったところでしょうか。しょせんは結果論ですが、「小細工せずにNYダウに投資しとけばよかった」と現在思っている投資家は数多くいるはずです。

そんなNYダウをメイン投資とするポートフォリオを考えます。

NYダウに連動するファンドはインデックスファンドなので、原則 “手数料最安ファンド” の一択となり、選択の余地はありません。このため、今回はメイン投資に為替ヘッジを付けてサブ投資の選択肢を広げることにしましょう。

NYダウは “株式” で “米国(先進国)” に該当するので、サブ投資は “債券” と “リート” となり、どちらかは “新興国” への投資となります。そして、新興国はリートの銘柄数が少ないため自動的に債券に決まります。

これで、NYダウをメイン投資とするポートフォリオが完成しました。

メイン:為替ヘッジ付NYダウ
サブ①:新興国債券
サブ②:米国を含まないリート

メイン投資に為替ヘッジを付けているため、リートファンドは必ずしもJリートである必要はありません。国・地域や利回りなども参考に判断すると良いでしょう。

各国リートの利回り

結果的に長期リターンのみを見れば「小細工せずにNYダウだけに投資しとけばよかった」となるかもしれませんが、より安定したパフォーマンス推移が期待できる “技あり” なポートフォリオになることは確かです。

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ポートフォリオの相性を検証

いかがでしたでしょうか?

「1つの投資アイディアからメイン投資先を決定し、それを起点にサブ投資を組み合わせる」というプロセスを肌で感じてもらえたのではないでしょうか。

そして、今回挙げたポートフォリオは、「投資初心者でも腹落ちしやすい投資アイディア」という縛りがあるものの、どれも資産運用のプロである私、ムササビ親分が “ガチ” で考え抜いた相性抜群の組み合わせです。なかなか自分なりの投資アイディアが思い浮かばないのなら、上記に挙げた3つのポートフォリオのどれかをぜひ検討してみてください。

最後に、ポートフォリオに組み入れる資産や国・地域の “相性の良さ” を簡単に検証する方法を紹介したいと思います。

その方法とは ウエルスアドバイザーのHPの「相性のよいファンドから選ぶ」というコンテンツ を利用することです(※要フラッシュプレイヤー)。

「相性のよいファンドから選ぶ」の画面

上記のコンテンツのプルダウンから分類(資産と国・地域)を選択するだけで自動的に相性の良い(=相関係数が低い)順に分類一覧が表示されます。ちなみに、分類の最後についている “(F)” は為替ヘッジが付かない、“(H)” は為替ヘッジが付くことを表します。

相関係数に関しては長くなるので詳しい説明を省きますが、ここでは以下の3点だけ押さえておけば十分です。

  • 相関係数とは資産間の値動きの関係を示す数値であり、-1~1の値をとること
  • 相関係数が0.8以上だと分散投資をする意味はあまりなく、できれば0.5以下が望ましいこと
  • リターンと違い、ある程度は過去データが信頼できること

このコンテンツは私が提案したポートフォリオの検証をするだけでなく、オリジナルのポートフォリオを作る上で大いに参考になります。その際は、サブ投資同士の相性を見ることも忘れないようにしましょう。

ただし、繰り返しになりますが “期待リターンの高さ” を必ず最優先にしてください。そうしなければ「値動きは安定しているけど大して儲からないポートフォリオ」に成り下がってしまいます。

さて、これで具体的なファンドを探す準備は完全に整いました。

オリジナルのポートフォリオを検討するも良し、初めは私の提案に乗っかるも良し。投資は全て自己責任ですが、「ここまでの解説を理解したあなたは、“高いリターンを安定的に得る資産運用” に大幅に近づいた」と断言しましょう!

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