週間マーケットコメントとポートフォリオ実績(2021年10月)

2021年11月1日

◆各週のマーケットコメントへ

ポート実績(2021年10月29日)

◇積立金額合計
2,150,000円

◇ポートフォリオ評価額
2,891,354円

◇損益
+741,354円(+34.5%)

◇各ファンドの騰落率推移
・インド株式
第1週:-0.9%
第2週:+0.7%
第3週:+2.6%
第4週:-0.5%
第5週:-2.3%

・為替ヘッジHY債券
第1週:-0.6%
第2週:-0.2%
第3週:-0.0%
第4週:+0.1%
第5週:+0.1%

・Jリート
第1週:-3.1%
第2週:+0.9%
第3週:+2.8%
第4週:-1.3%
第5週:+1.4%

※各ファンドや運用前提については 「私のポートフォリオ」シミュレーション開始 を参照してください。

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マーケットコメント(第1週)

今週の世界の株式市場は総じて下落ました。先進国は日本を中心に大きく下落しました。新興国は中国がマーケットを下支えたものの、台湾や韓国が大きく値を下げ、下落しました。

◆主なプラス材料

◆主なマイナス材料

  • 米国のインフレ加速懸念を背景とした米長期金利の急上昇
  • 米債務上限問題への懸念
  • コロナ禍を背景としたサプライチェーンの混乱


<今週のワンポイント「米債務上限問題」>

米債務上限問題は過去複数回浮上しており、今回の件が解決したとしても、今後また起こる可能性は十分にあります。このため、その背景をここできちんと理解しておけば、今回、そして将来に役く立つ知識となるでしょう。

債務上限とは、米連邦政府が国債発行などで借金できる債務残高の枠のことです。債務が法定上限に達すると、政府は議会の承認を得て上限を引き上げる必要がありますが、これができないと国債の新規発行ができなくなり、米国債の利払いや償還が滞る、つまり債務不履行(デフォルト)に陥ります。格付AA+(S&P)、世界最大の発行残高である米国債がデフォルトになった日には、世界中に空前絶後の激震が走ることは火を見るより明らかです。

【米国の国債発行残高の推移】

※画像出典:三井住友DSアセットマネジメント(データ元はBloomberg)

にもかかわらず、この問題がたびたび浮上する主な理由の一つとして、財政健全化を求める議会の声が多いことが挙げられます。この問題への対処として、債務上限を引き上げる方法以外には債務上限の適用を停止するという方法もあり、直近はその方法がとられました。

【これまでの米債務上限問題への対処】

※画像出典:三井住友DSアセットマネジメント

実際に、米国債がデフォルトになる可能性はほぼないと言えるほど非常に小さく、マーケットもそのことについてはあまり警戒していません。しかし、債務上限の問題は予算案と切っても切れない関係を持っており、例えば、コロナ禍対策として更なる大型景気刺激策を行おうとすれば債務上限の引き上げはセットになります。こうした背景から、本問題は予算案が可決されず米政府機関が閉鎖される問題と密接に関係しており、マーケットでは警戒せざるを得ないリスクとして認識されています。

また、こうした状況がたびたび浮上する、あるいは深刻な事態に発展するようであれば、過去あったような米国債の格下げに繋がる可能性が高まることも、マーケットの警戒感を一段と強める要因と言えるでしょう。

<ムササビ親分のみ・か・た>

今週は「米国でコロナ禍が収まらないままインフレ加速懸念が高まる」という、「金融緩和と景気刺激策が限界を迎え、これまでのツケを支払わされる局面に入る」兆候が見られました。いくら金余りと言えど、下落リスクの高いものに投資する資金はそうそうありません。また、今まではコロナ禍が追い風となる企業の業績期待などが株価を下支えていましたが、こうした状況が一巡し、それらの期待にも陰りが見え始めてきました。歴史的に見ても、暴落からこれほど急反発したケースは稀です。こうした状況をよく考えた上で投資判断をすることが賢明であると考えます。

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マーケットコメント(第2週)

今週の世界の株式市場は総じて上昇ました。先進国は英国を中心に上昇しました。新興国はインドを中心に上昇しました。

◆主なプラス材料

◆主なマイナス材料

  • 香港取引所の中国恒大集団株式の売買停止発表
  • 高まる米国のインフレへの警戒感
  • 米長期金利の上昇


<今週のワンポイント「インフレ」>

インフレとはインフレーションの略で、物やサービスの値段(物価)が上がることを言います。「景気が良いとインフレになり、物の値段が上がってお金の価値が下がるため、現預金の実質的な価値が目減りする。」といった内容は資産運用の基礎的な解説としてよく目にするため、多くの人が知っている知識だと思います。

しかし、「インフレが株価にどのような影響を与えるか」といった内容になると、ほとんどの人が知らないのではないでしょうか?そこで、今回はインフレと株価の関係について、分かりやすさ重視で解説したいと思います。

まず、私たちは単に“インフレ”と呼んでいますが、投資の世界でより重視されるのは“期待インフレ率(=予想インフレ率)”と言って、実際に起こった物価上昇率ではなく、消費者や企業、市場などが予想するインフレに対する将来の予測値であることを押さえましょう。なぜなら、マーケットは将来予測によって価格形成されるものだからです。また、期待インフレ率は実際のインフレ率に連動、先行して動く傾向にあり、各国の中央銀行はその動向から金融政策を行うことが多いことも大きな理由の一つです。期待インフレ率は市場関係者に対する調査などを基に算出するほか、特定の計算方法によって算出する場合があります。

次に、株価の理論価格を計算する代表的な方法の一つ“ディスカウント・キャッシュ・フロー法”において、株式の理論価格はザックリ言うと“企業の期待成長率”と“長期国債金利”の二つに影響を受けることを押さえましょう。一般的に企業の期待成長率が上昇すると株価も上昇する一方、長期国債金利が上昇すると株式運用の相対的魅力度が下がるため株価は下落します。

そして、企業の期待成長率と長期国債金利、どちらも期待インフレ率の影響を受けるのですが、単純に「期待インフレ率が上昇すると特定の方向に動く」というわけではないということが非常に重要なポイントです。

例えば、期待インフレ率が上昇すると、基本的に価格上昇を通じて企業の売上増加が期待されるものの、それが利益の増加に繋がるとは限りません。需要増加による価格上昇(ディマンドプルインフレ)であれば、企業利益は増加しますが、原価上昇による価格上昇(コストプッシュインフレ)であれば、むしろ利益は減少する傾向にあります。また、期待インフレ率が上昇すると、基本的にお金を将来にとっておく(預ける・貸し出す)ニーズが弱まるため、長期金利には上昇圧力が働きます。しかし、長期金利は短期金利、つまり政策金利の先行き見通しにも大きな影響を受けることから、こちらも一概に期待インフレ率の上昇が長期金利上昇に繋がるとは言えないのです。

このように、一口に“インフレ”と言っても、「それが企業利益にどのように繋がるものか」、そして、「中央銀行の政策金利を通じて長期金利がどのように動くか」によって株価に与える影響は大きく異なります。これら二つの切り口からインフレを見れば、マーケットへの理解がより深まるでしょう。

以上を踏まえた上で今週のマーケットを確認すると、今週は米国のインフレへの警戒感が世界株式市場の重しとなりました。これは、マーケットが「世界的な半導体不足等によるコストプッシュ型のインフレ(つまり思ったより企業利益が伸びない状況)」と「米国のテーパリングや利上げが意識される中での、期待インフレ率の上昇による長期金利の更なる上昇」という株式市場に大きな打撃を与える未来を警戒していると解釈できるのです。

<ムササビ親分のみ・か・た>

今週の上昇は「前週の下落の反動」という要素が強いように思います。前述したインフレへの警戒感を始めとしたネガティブ材料がポジティブ材料を大きく上回って顕在化しており、世界株式市場にとって厳しい状況と言えます。「どこかで急落が起こる、あるいは長期的に軟調に推移する可能性が高い」という見方は引き続き変わりません。

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マーケットコメント(第3週)

今週の世界の株式市場は総じて上昇ました。先進国は日本を中心に上昇しました。新興国はインドを中心に上昇しました。

◆主なプラス材料

◆主なマイナス材料

  • IMFによる世界や米国の経済成長率予想の下方修正
  • 原油を中心とした商品相場の過熱感への警戒

<今週のワンポイント「IMF」>

IMFとはInternational Monetary Fund(国際通貨基金)の略で、1947年3月に業務を開始した国際機関です。2021年3月3日時点の加盟国は190ヵ国になります。

IMFが担う最も重要な役割は、「加盟国の為替政策の監視(サーベイランス)」や「国際収支が著しく悪化した加盟国への融資」を通じて為替相場制度や多国間決済制度などの国際通貨制度の安定性を確保することです。

サーベイランスでは各加盟国の政策や、国、地域、世界の経済や金融の動向をモニタリングし、政策助言を行います。具体的には、世界の経済見通しや金融市場、国家財政の動向、主要経済国の対外資金ポジションについて定期的に分析を行い、加盟国に対して経済の安定性強化、経済危機や金融危機に対する脆弱性の軽減、そして生活水準の向上を目指す政策を推奨します。

また、IMFは国際収支の問題が生じている加盟国や生じる可能性がある加盟国に対して、当該政府当局と密接な協力の下、融資によって支援する調整プログラムの計画立案を行います。IMFが加盟国に融資を行える財源は1兆ドルで、低所得国向け融資の金利は0%です(2021年3月3日時点)。

このような役割を担うことから、IMFは様々なデータの収集・分析を行っており、これらデータはWorld Economic Outlook Databaseにて半年毎(4月、10月頃)に公表されます。また、その一部は3ヵ月後(7月、1月頃)に更新データとしてWorld Economic Outlookにて公表されます。そして、これらのデータの分析レポートは、同じくWorld Economic Outlookにて公表されており、全世界の投資家が注目しているのです。

<ムササビ親分のみ・か・た>

今週は景気動向を敏感に映す米金融セクターの決算がおおむね良好だったこと、9月の米消費者物価指数が市場予想に反して増加したことなどがかなりポジティブだったと考えます。米国の量的緩和縮小(テーパリング)や利上げを控える中で、急落を避けるには消費回復が必須と言えるでしょう。「どこかで急落が起こる、あるいは長期的に軟調に推移する可能性が高い」という見方は引き続き変わりませんが、後者への可能性が若干高まったと考えます。

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マーケットコメント(第4週)

今週の世界の株式市場は総じて上昇しました。先進国は日本や英国が下落した一方で米国が市場を押し上げました。新興国はブラジルが大幅下落、インドも値を下げたものの中国が市場を牽引しました。

◆主なプラス材料

◆主なマイナス材料

  • 市場予想を下回る7~9月期の中国実質GDP
  • 政府が歳出上限ルールを変更し、新たな財政支出への懸念が高まったブラジル株式市場の急落


<今週のワンポイント「アップル」>

次週はいよいよGAFAMの決算が出揃う、非常に注目度の高い週と言えるでしょう。ということで、今週は個別銘柄第4弾、アップルの基礎情報と世界株式市場における位置付けを解説します。(第1弾:アルファベット、第2弾:アマゾン、第3弾:マイクロソフト

アップルと言えばiPhone、この企業と製品を知らない人はまずいないのではないでしょうか。多くの人の想像通り、アップルの主力製品はiPhoneで間違いなく、売上高に占める割合は直近決算において50%を超えます。ただし、もう一つ同社の有名製品であるMacについては、知名度のわりには売上高割合が小さいと言えます。

また、近年ではクラウドストレージ料金やApp Storeからの収入などに基づく「各種サービス」の売上高が大きく伸びており、その存在感が急激に増していることは押さえておくべきポイントです。特に、同部門はiPhoneに比べて圧倒的に利益率が高く、利益ベースで言うならiPhoneにより近い割合であると推測できます。このため、同部門がアップルの主力成長ドライバーの一角であることは間違いありませんが、足元では、App Storeにおけるアプリ提供会社への高額な手数料が問題視されています。これは、同部門の収益性に直接ヒットする問題であり、その行方は投資家にとっても大きな注目材料であると言えるでしょう。

続いて、アップル株が世界株式にどれ程影響を与えるのか、代表的な指数である「MSCI ACWI Index」を例に見てみます。


※出所:MSCI

上の表は「MSCI ACWI Index」の組入上位10銘柄と組入比率(2021年9月末時点)です。アップル株は組入比率3.59%で、組入銘柄総数2,979銘柄中第1位、つまり、世界株式市場に最も影響を与える企業ということです。

アップルの決算は9月締めであり、次週10月28日に発表されるのは本決算です。このため、前述したApp Storeの問題と併せて特に注目度の高い決算であると考えます。ここまで解説した基礎情報を押さえた上で、ぜひチェックしてみてください。

<ムササビ親分のみ・か・た>

今週は米企業業績の強さが目立ちました。事前に業績不安が広がっていただけに、米長期金利の上昇やインフレ懸念が高まる中でも、米国株式市場は堅調に推移しました。VIX指数も落ち着きを取り戻し、GAFAMへの決算期待などから市場には楽観ムードが広がっていると見られます。ただし、米国のインフレへの懸念を始めとした多くのリスク材料は引き続きくすぶっており、決算イベントを消化した後は、こうした事実が再度ネガティブ材料視される可能性は高いと考えます。

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マーケットコメント(第5週)

今週の世界の株式市場は総じて上昇しました。先進国はユーロ圏を中心に上昇しました。一方、新興国はブラジルやインドを中心に下落しました。

◆主なプラス材料

  • 米主要企業の決算が総じて良好と受け止められたこと
  • 市場予想を上回る10月の米消費者信頼感指数
  • 米政府の経済支援策への期待

◆主なマイナス材料

  • ビザの大幅安
  • 米長短金利差縮小による米主要銀行株の下落


<今週のワンポイント「フェイスブック」>

今回はGAFAM最後の銘柄、フェイスブックを取り上げます(第1弾:アルファベット、第2弾:アマゾン、第3弾:マイクロソフト、第4弾:アップル)。同社は今週25日に発表した決算内容が冴えないと市場から受け止められたことで下落しました。しかし、28日に社名を「メタ(Meta)」に変更し、仮想現実(VR)などの仮想空間(メタバース)の構築を事業の中核に据える旨を発表、さらに29日にVR技術を活用した運動アプリの開発を手がける企業の買収を発表したことが買い材料となり下げ幅を縮めました。週間で見ると小幅な動きにとどまったものの、同社に大きな変化があったことは確かであり、世界的に非常に注目されている銘柄であるため、今の内に基礎情報を押さえておいて損はありません。

フェイスブックの主力事業であるSNSの「Facebook」や「Instagram」は、もはや知らない人がほぼいないくらい世界に普及しています。利用したことがある人なら分かると思いますが、これらSNSには広告が掲載されており、この広告掲載から得られる収入が同社の売上のほとんど(95%以上)を占めています。Web広告においては、主に「①利用者に広告が表示される」、「②利用者が広告がクリックする」ことで収益が発生するため(同社の場合は①)、SNSの利用者数は売上高に直接ヒットします。

同社の主力SNSは以下の5つです。

<Facebook(フェイスブック)>
スマホやPC上で人々が相互に接続、共有、発見、および通信できるネットワークです。ニュースフィード、ストーリー、マーケットプレイス、ウォッチなどのコンテンツがあります。

<Instagram(インスタグラム)>
主に写真や動画などビジュアル重視の投稿をシェアできるサービスです。ユーザーが自分の興味のある分野の関連コミュニティと繋がることができます。

<Messenger(メッセンジャー)>
Facebookの友達とプラベートなチャットのやりとりができるサービスで、グループの作成やビジネスチャットとしても利用可能です。

<WhatsApp(ワッツアップ)>
ヨーロッパやアメリカでメジャーなチャットアプリです。LINEと同じようにリアルタイムでメッセージの交換ができます。

<Oculus(オキュラス)>
VRテクノロジーとコンテンツのプラットフォームを提供するサービスで、ユーザーはリアルな感覚でトレーニングや学習、ゲームなどを他のユーザーと一緒に楽しむことができます。

これらサービスの利用者数の将来見通し、あるいは新たなサービスの開発への期待感などが同社の株価に大きな影響を与えると言えるでしょう。

続いて、フェイスブック株が世界株式にどれ程影響を与えるのか、代表的な指数である「MSCI ACWI Index」を例に見てみます。


※出所:MSCI

上の表は「MSCI ACWI Index」の組入上位10銘柄と組入比率(2021年9月末時点)です。フェイスブック株は組入比率1.24%で、組入銘柄総数2,979銘柄中第5位(アルファベットは合算でカウント)であり、世界株式市場に大きな影響を与える銘柄であることが確認できます。ただし、2021年10月末時点では6位のテスラが同社の時価総額を抜いており、同指数の組入比率についても順位が入れ替わっている可能性があることには注意が必要です。

<ムササビ親分のみ・か・た>

今週もアップルアマゾン、フェイスブックといった超大型株の決算内容が冴えなかったにもかかわらず、米企業全体としては総じてポジティブに受け止められ、世界株式市場を押し上げました。来週は米企業決算がピークを迎えるため、引き続き大きな注目材料になると考えられます。好調な企業決算はFRBの量的緩和縮小(テーパリング)や早期利上げに繋がり得るため、決算イベントを消化した後は、こうした事実が再度ネガティブ材料視される可能性は高いと考えます。

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